29階建て458戸の超高層タワーレジデンスとともに、
約1万㎡の敷地に総合設計制度認定を受けたランドマークプロジェクト「ブランズタワー橋本」。
タワーとしての独自の存在感を主張するのではなく、都市と自然の共生を纏い、
周辺環境に寄り添う親和性の高いデザインとしています。
橋本には、東京都心から広がる都市の雰囲気があり、一方では、丹沢山地や相模湖、相模川を代表する緑と水の存在も傍らにあります。そうした都市と自然の一体感のようなものは多分この街でないと体感できないですし、そこがものすごくゆたかだと思います。建築家の仕事は、そんな橋本を再定義しデザインを通じて街の魅力を高めること。
本プロジェクトの建物デザインについて言うと、独自の存在感を放つ尖った先進ではなく、自然や街の景観など周りの環境に溶け合うような「環境先進」がいいと考えました。
具体的には、スクエアな建物に対して斜めにカッターを入れるように壁を3面構えています。3面はそれぞれ、橋本の特徴的な風景に面して、意匠としてもそれぞれの特徴をモチーフにしています。
例えば、ある一方は相模川の流れ。ある一方は奥多摩秩父の山に面して。そして3つ目の壁は橋本駅側の方向、都心の方に向いているという3つの壁を設定しています。
山側は、オーガニックな土の色であったり、木肌の色のような深い自然の色を持つ表情を。都市側は、建物と建物の重なりを表現しています。いずれの壁面も上に行くにしたがって少しずつ明るく、反射度を高める工夫で空に溶け込むような表情づくりをしています。
敷地に広がる緑の流れが建物の中にも浸透するイメージで吹抜エントランスホール及び2階ラウンジをデザインしています。ここを起点に、コミュニティスペースやコワーキングラウンジなどの共用施設が枝葉のようにネットワークする。2階ラウンジにはランドスケープの延長線上として本物の樹木を入れる予定です。公園のようなベンチを用意するなど、木々の周りに寄り添って活動できる場所にしていきます。
スカイラウンジは山側の秩父丹沢方面に向いた28階の高層部に。マンション全体を大きな樹木として捉えれば〝梢〟に当たるような場所。足元の緑との連携を考えながら、ここにもシェルフがあったり、緑があったり、そして緑の梢を感じさせる意匠を検討しています。
この計画が、先進的な開発事例のロールモデルになってそれが広がってくれればいいなというのが願いです。
奥村 俊慈氏
〈建築デザイン監修〉
有限会社ケミカルデザイン一級建築事務所
東京理科大学理工学部建築学科卒業、プラット・インスティチュート建築学部大学院卒業、ハーバード大学デザイン学部大学院卒業 MASTER IN DESIGN STUDIES、2007年有限会社ケミカルデザイン一級建築事務所設立。
橋本は丹沢山地と都心部の間の風の通り道にあり、都心部に比べて「少し風の動きを感じることができる場所」という印象をうけました。このような環境を踏まえ、「風の流れが、多種多様な緑樹によって視覚化されるようなパーク」ができれば素敵だなという思いで構想をスタートしました。
また、本開発で整備される計画地は、コミュニティにとっての「セントラルパーク」として、近隣地域にひらかれた場所として計画することが重要だと考えました。敷地内だけではなく、まわりの環境のこともしっかりと考えることで、橋本エリアのクオリティ・オブ・ライフを高め、周囲にとって優しい場所になってくれればと願っています。
この場所で大切なことは、ただ眺めて美しい風景だけではなく、人々が主役となる活動できる場をつくることだと考えています。コミュニティ活動やスポーツなど、多種多様なアクティビティを通して交流を深めることで新しい発見や気付きがあり、ゆたかな日常生活を支えるパーク。地域住民を長年にわたり支えてきたこの土地の記憶を受け継ぎ、計画地内に生まれるオープンスペースでは、こどもから大人まで多くの世代が集い、地域住民に親しまれる場所を目指します。
丹沢山地、多摩丘陵といった背景にある自然の山並みをインスピレーションとして、あらたに緑豊かな環境を整備することで橋本の新たなアイデンティティーとなるような風景がうまれると考えています。また、敷地内の雨水の一部を大切に集め、循環し、再利用する等、環境に十分配慮することで環境への関心を高めることもこの場所の役割として重要と考えます。自然と都市の結節点としての橋本の場所性をしっかりと反映することで、この場所にふさわしい地域の生態系をつなぐような場所になってくれることを期待しています。
アキ オウミ氏
〈ランドスケープ基本構想〉
office ma クリエイティブディレクター
16歳で渡米、ハーバード大学院でランドスケープアーキテクチャーを学ぶ。サンフランシスコ・東京を拠点とする。代表作にTokyo Midtown, LA Waterfront, Beijing Expoなど。
橋本駅に初めて降り立った時、再開発の工事現場での大規模な掘削作業を目の前にして衝撃を受けました。新聞などで情報は得ていたのですが、実際にこれだけの規模の開発が進んでいることに驚き、橋本に発展の伸びしろは十二分にあるんだと強く感じました。
一方で橋本は、丹沢山地、相模湖、津久井湖など雄大な自然に包まれていて、ある意味、近未来の都市と共存している街です。そこで本プロジェクトに、都市と自然の出会いの場をつくるという発想が生まれました。<来住野>
実際に橋本に住まう方々にお会いして感じたのは、街への愛着をもたれているという印象です。そこで都市と自然をつなげるとともに、人と人をつなげるという、この2つを実現したいと思いました。大規模なタワーマンション開発だからこそ、ブランズタワー橋本にお住まいになる皆様それぞれが心地よいと感じるコミュニティ形成が生まれるよう、仕掛け作りを進めていきます。<矢田>
本プロジェクトでは総合設計制度を活用しております。これは建物を高度化することで、足元に広大な空地をつくりだす認定制度です。敷地約1万㎡に緑ゆたかな森や広場を設定し、誰もが利用できる公開空地を実現させる予定です。緑ゆたかな風景は、ご近所の皆様にとっても誇らしいものになればと思いますし、ここで様々なイベントが催されることも視野にいれています。<来住野>
弊社の新築分譲マンションブランド「BRANZ」は、2021年のリブランディングによって「環境先進を、住まいから。」というタグラインを掲げるようになりました。持続的な社会づくりを考える上で、住宅を提供する企業が環境や社会課題に向き合うことは不可欠なことです。
ただ「環境先進」とはいっても、環境への技術的な貢献だけを指すのではなく、「心地よく生きる」「生き生きと暮らす」という面があって始めて、未来へつながる「環境先進」の持続可能性は実現できるのではないかと考えています。
地域の方から愛され、地域と調和する建物をつくれるかどうかが私どもの大きなテーマ。マンションは一度つくると50年、長ければ70〜80年、その土地にずっと存在し続けることになる。だからこそ、地域や周辺環境と調和し、愛される建物をつくることにはこだわりたい。<来住野>
ブランズタワー橋本を目にするだけで「あのマンションがあるということは橋本だよね」というように思ってもらえたら嬉しい。例えば、東京のシンボルである東京タワーのように、ブランズタワー橋本も人々から愛される地域のフラッグシップでありたい。そんな想いとともに日々計画を進めています。<矢田>
来住野 浩亮
〈ブランズタワー橋本〉グループリーダー
入社後は不動産ファンド事業に従事。その後、住宅事業部門へ異動し12年。住宅事業では用地買収、計画、戦略立案・計数管理まで多岐に担当。「地域に愛される建物づくりにこだわりたい」
矢田 結子
〈ブランズタワー橋本〉商品計画担当
入社後、DX推進部にてWEBサイトの構築やオンラインコミュニケーションの改善業務を経験し現部署へ。学生時代に得た「サステナビリティ」に関する知識も活かし本プロジェクトを担当中。