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Interview#02
「ザ・タワー十条」では、その壮大なスケールにふさわしく、各分野のスペシャリストたちが集い、街の新たなランドマークとなるプロジェクトを進めています。ここに携わるプロフェッショナルに想いを聞くインタビューの第二弾に登場していただくのが、本プロジェクトのライティング基本デザインを手がける「内原智史デザイン事務所」の内原氏。「渋谷ヒカリエ」や「東京国際空港 羽田第2ターミナル」など多数のプロジェクトに携わり、日本を代表するライティングデザイナーとして活動する内原氏ならではの発想と、「ザ・タワー十条」についてのこだわりについてお聞きしました。
光の可能性を最大限に活かし、都市のアイデンティティー、空間の機能と情緒、さらにエンドユーザーとのインターフェースを創る企画デザインを幅広く提案するライティングデザイナー。都市景観から建築空間など様々な空間と時間における表現力を高めるライティングデザインにより、エンドユーザーに豊かな快適性と創造性を伝えることを追求している。
渋谷ヒカリエ
六本木ヒルズけやき坂イルミネーション
東京国際空港 羽田第2ターミナル
これまでの都心のマンション開発を見ていると、都市機能が充実し、利便性の高い中心部へのニーズが高かったように思います。しかし、これからの時代は、街それぞれのアイデンティティが求められるのではないでしょうか。住む人のアイデンティティに合う街を選ぶことができ、いろいろな場所の選択肢が考えられる。そういった意味では、十条という街は、商店街や自然など魅力的な要素がたくさんあって、環境的にもバランスが非常に高い。今回のプロジェクトは、この十条の駅前に建つシンボリックなタワーマンションとなるわけですが、ライティングデザインにおいても、ここに住む人だけではなく、エリア全体にまで、「光」という新しい魅力と付加価値を与えていくことがひとつの使命だと思っています。
ライティングデザインのベースになったのは、十条の歴史、賑わい、自然を受け継ぎながら、風格、先進性、愛着、交流を生み出す光。そのために「Focus Plaza」というコンセプトを提案。超高層マンションならではの垂直方向の光でありながら、地域や周囲で共有できるプラザのような光をデザインしている。
ライティングデザインというのは、建築デザインと異なる点があって、それは建物だけでなく周囲にまで広がっていくところなんです。建築には、建ぺい率などによって高さや大きさの制限が出てきますが、光は空気を自由に飛び交い、エリアに広がり、そして包み込む。だからこそ、周囲を巻き込み、エリア全体として考えていくことが重要となっていきます。今回の開発では、駅前の超高層マンションとしてどうあるべきかを意識し、光とともに街から美しく立ち上がっていく姿、いわば積層する光景を最初にイメージしました。それが、「Focus Plaza~立体的共存~」というコンセプトにつながります。都市景観というものは、上から下まで同じにするのではなく、山が上と下で自然や生態系が変わるように分節して考えるべきだと思います。景観を考えるときに、まず人がいて、そこから全体につながっていく。ライティングデザインにおいても、建築だけが浮かび上がるシンボル性を求めるのではなく、いかに人につながっていくかを大切にしています。ヒューマンセントリック、人中心のあり方ですね。人を呼び込み、その流れをつないでいくことで、街やエリア全体の表情を演出する光にこだわっています。
建物の頭頂部であるティアラの光は、自分の住むマンションを認識させるものとしてデザイン。また遠景から眺める人にとっては灯台のような役割を担いながら、街との共存も考えている。上図で表現しているのは、ヒューマンカスケーディングライティング。水を注ぎ込むと流れが自然に分節して広がるように、光が自然に広がり、その光に人が呼び込まれ、つながっていく。
「ザ・タワー十条」のライティングデザインは、3つのデザインコードによって進められています。一つ目は、あたたかい色調、暖色系を使用すること。これは、令和3年に環境省がようやく光害対策ガイドブックを改正したのですが、その中にもあるように生態系や景観に負荷を与えない波長の明かりを使うというルールが加筆されました。これは、人間の心が安定するリズムの明かりを使用することなんですね。暖炉や食卓のようなあたたかい明かりは、人がいるイメージができ、街並み全体もあたたかく演出することができます。たとえば、太陽が沈んで高層住宅を見上げたときに、暖色系の明かりがやさしく灯ると、心がやさしく包まれるような気持ちになります。サーカディアンリズム(体内時計)とも言われますが、時間軸によって光が都市生活のストレスを解放する、とても大事な役割を担っていることの証だと思いますね。
デザインコードの二つ目は、やわらかい光、インダイレクトの光を使うことです。強い輝度の光を使うのではなく、樹木や虫にも好ましい、そして人を歓迎するようなウェルカムフィーリングの灯りを意識しています。特に今回の開発は、駅前開発で、低層部は街に開かれた場所として機能するので、光が住む人や行き交う人をやさしく迎えるようなトーンにしたいと考えました。やわらかい光のグラデーションが、地面、建物、街を包み込むようにイメージしています。
そして、三つ目のデザインコードは、ヒューマンスケールであることです。人を中心に考えるライティングデザインだからこそ、人を投影しながら、分節した光のリレーションをつくりました。現代のライフスタイルは、どんどん多様化しています。さまざまな人がさまざまな時間に、この建物の光を目にすることになるので、どんな光で人を迎え、もてなすかを考えながらデザインしています。
本プロジェクトは、基壇部に豊かな緑があるので、そこについてもライティングデザインの見せ場があります。ここで大切にしているのは、日常生活の中で、自然を感じて暮らせるように、光が自然をフィーチャーできる照明計画です。たとえば散歩をしているときにも美しい緑と光の夜景が楽しめるのはもちろん、夜でも安心して歩けるように考えています。そのために、強い光ではなく、生態系や自然に優しく調和する明かりを使用するようにしました。また、今回のプロジェクトは、地域と共生する開発でもあるので、光によるエリアマネジメント的な観点も大切にしています。シンボルツリーがクリスマスツリーのようにライトアップされたり、子どもたちのイベント広場を彩ったり、この街の中心に新しい光の景色がつくられていくと素晴らしいですね。