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プロフェッショナルに学ぶ

伝統文化を守り、広めてゆく

中国から平安京に伝わり、人々の暮らしの中で発達してきた江戸からかみ。途絶えそうになったその伝統文化を、保存し、継承しているのが、江戸からかみの版元、東京松屋だ。江戸からかみを内装材料として普及させつつ、職人たちとともに、伝統工芸品としてのものづくりに奮闘している。

保存と継承の役目を担うこと

江戸時代、町人文化とともに栄えた江戸からかみ。しかし、その版木は関東大震災と東京大空襲でほとんどが焼失してしまう。版木の少ないまま迎えた、戦後の高度経済成長期。江戸からかみを使った襖は、大量生産できるシルクスクリーン製品に代わり、職人たちはことごとく、その貴重な技術を眠らせていた。


わずかに残っていた江戸からかみと版木を目にし、「この美しい紙を復活させたい」と立ち上がったのが、東京松屋社長の伴充弘氏だ。現存する貴重な資料をもとに、新たな江戸からかみの見本帖を作成。これを機に、伝統から遠ざかっていた職人たちが結集し、江戸からかみの保存と継承を目的とした組合が生まれた。江戸からかみは現在、和室の襖だけでなく、壁や天井のインテリアや小物などにも幅広く活用されている。

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今回お話を伺ったのは、株式会社東京松屋 商品企画・広報担当河野綾子氏

「本物を選びたい、豊かな暮らしをしたいという人が増えたのでしょうね。顔料も糊も自然素材を使った江戸からかみは、安心してインテリアにも使えます。また、木を原料にする紙は呼吸するので、部屋の湿気を調整する効果もあるんですよ」と、同社商品企画・広報の河野綾子氏。
サンプルを置いたショールームでは、若い夫婦が、楽しみながら襖の絵柄を探していた。
「江戸からかみは可能性を秘めています。職人さんの仕事を支え生活を保証し続けること、伝統品としてのものづくりを伝えていくことは、私たち版元の使命なんです」。
時代は変われど、いいものは必ず残る。そのことを、東京松屋の活動が証明している。

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東京松屋に残る、1868 年頃の木版引札。「新形唐カミ類品々」と記されている。
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江戸からかみを張った行燈型の照明器具は、モダンな和風
インテリアとして人気。柄はオーダーも可能。
20,000円~35,000円。
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箱専門の職人が張り上げた紙箱。天神唐草模様のフタを
開けると、中から鮮やかな色が現れる。6,300円~9,450円。
版元 東京松屋
江戸からかみの版元。1690(元禄3)年、松屋伊兵衛により創業。一時は途絶えかけていた江戸からかみを再生させた立役者。現在、江戸からかみの技術の保存と継承を目的とする協同組合の中心となって活動している。台東区東上野では、江戸からかみのサンプルや使用例を展示するショールーム・ショップを展開。気軽に購入できる雑貨やステーショナリーも販売している。
Photo/Jun Toyosaki Text/Kazumi Serizawa Edit/Toshio Tachihara(Tactic Lab)